ATH-A900

[寸感]
「THE King of 無難」の名をほしいままにするヘッドホンだと思う。なお、現在では生産終了で、後継機「ATH-A900X」が販売中。かなりの分解能、かなり透き通った高音。ヴァイオリンがかなり良い。つまり「かなり」、これに尽きるヘッドホンかなと思う。かなり高音よりのデザインだね。

音の密度は低い。言い表すならば、原音が、「1、0.9、0.99、0.999……」と無限に1に近い音全てを表現しているのに対して、ATH-A900は「1、0.9(打ち止め)」という感じ。1と2の間に、1.25、1.5、1.75しかないような、そんな感覚かな。


[高音域]
高音域の伸びは素晴らしい。この値段のヘッドホンでこの伸びは他に知らない。ヴァイオリンソロなんて聴くと、悦に浸れる。それぐらい伸びは良い。音圧はほどほどなので、高音が耳に刺さると言うこともあまり無い。ただ、シンセの「チッ」という音は耳に刺さる。しかし高音は澄んだ伸びのある音を出してくれる。

[中音域]
中音域もこのヘッドフォンは鳴らしてくれる。高音よりのデザインからだろうけれど、女性ボーカルの音はつややか。高音よりのバックグラウンドと、女性ボーカルの組み合わせだと素晴らしい。

[低音域]
低音は基本『出ない』と思った方がいい。音圧的には最小限しか出てない。そのせいで中音、高音を邪魔はしないが、低音好きな人には物足りない感を感じると思う。オーディオシステム的にはサブウーファーが無い、という感覚が近い。

[分解能]
分解能は高いです。

[定位]
あらゆる音の位置は、頭50cmの周辺で音が鳴ってると思って良い。方向は分かれど、音場がおそらく皆無に近い。ただ、ライブ音源とかじゃない限りさ程問題にはならない気はする。

[音場]
定位で触れたように、かなり狭い。半径50cmといったところ。

[ダイナミックレンジ]
普通かなと思う。ある程度の小さい音量のもの、ある程度の大きい音量のもの、そんなものが普通に聞こえる範囲に収まっているという感じ。なので、最低と、最高の距離もそんなに遠くない。